世界的大ベストセラーのビジネス書「7つの習慣」。
1996年に日本語訳の初版が発売され、その後重版を繰り返し、2018年時点において日本で累計200万部、世界では累計3,000万部の売上を記録しています。
既にお読みの方も多いかと思いますが、今回の記事ではこの「7つの習慣」を禁酒、断酒におけるライフスタイルに当てはめて考察をはかりたいと思います。
7つの習慣は大きく分けて四部構成になっています。
パラダイムと原則について、私的成功、公的成功、再新再生の全四部です。
そして「7つの習慣」の全体構成は以下の通り。
第一部、パラダイムと原則について
インサイド・アウト(内から外へ)
人生の扉を開く7つの習慣
第二部、私的成功
第1の習慣、主体性を発揮する
自己責任の原則
第2の習慣、目的をもって始める
自己リーダーシップの原則
第3の習慣、重要事項を優先する
自己管理の原則
第三部、公的成功
相互依存のパラダイム
第4の習慣、Win-Winを考える
人間関係におけるリーダーシップの原則
第5の習慣、理解してから理解される
感情移入のコミュニケーションの原則
第6の習慣、相乗効果を発揮する
創造的な協力の原則
第四部、再新再生
第7の習慣、刃を研ぐ
再びインサイド・アウト
今回はこの中から禁酒、断酒を開始、継続する上で私が有効と感じた「私的成功」の部分に焦点を当てて記事にしていきます。
第1の習慣、第2の習慣、第3の習慣の三つ
当ブログにて興味を持った方はぜひ本書を購入の上、全編通して読んで頂きたいです。
2013年に完訳版が発売されていますが今回は2011年に出版された物からの記事構成となっています。
まだお読みでない方は完訳版の方を手にとってお読み下さい。
第1の習慣、主体性を発揮する
影響の輪と関心の輪
第1の習慣において「肝」となるのはなんと言っても「影響の輪」と「関心の輪」でしょう。
聞いたことあるんじゃないですか?
この二つの輪の違いは端的に言って、自分でコントロールが可能な事と不可能な事です。
人間には自身を大きく、ぐるりと囲む形で「関心の輪」があります。
これらはあなたにとって関心のある物事です。
そしてその内側に小さく「影響の輪」があるイメージとなります。
例えば影響の輪の物事で挙げられるのは、
- 心身の健康のため運動をする。
- 仕事の効率化のためにタスク管理を見直す。
- ダイエットのため食事にこだわる。
- 他人にできる限り優しく接する。
などやろうと思えばいつでも出来る事です。
主に自分と現在、未来についての物事が影響の輪と言えます。
一方関心の輪といえば、
- 運動したいので晴れてほしい。(天候)
- 仕事での昇進。(会社の人事)
- 楽して痩せる方法。(自分とって都合のいい情報)
- 人に優しくしてもらいたい。(望み通りの人間関係)
などではないでしょうか。
基本、他人と過去の出来事が関心の輪の出来事といえるでしょう。
過去はどう足掻いてもコントロールできません。
そしてあなたが主体性を発揮するためには当然、影響の輪に注力をしなければなりません。
関心の輪の出来事とは言い方を変えれば無い物ねだりに他ならず、これらに注視していると主体性は発揮できず、「反応的」で自分勝手な人間になってしまうのです。
世の中や周りの出来事にいちいち腹を立てていても自分の人生は決して好転はしないでしょう。
そうはいっても腹たつんだよね…
ネットで誹謗中傷などに明け暮れる人などは関心の輪に振り回されている人たちとも言えます。
つまり、主体性がなく反応的
反応するかどうかを決められるのはあなただけ
そして不意に襲ってくる「それらに」対し反応的になるか、主体性をもって臨むか…といった選択権はあなたにしかないのです。
僕は〜それを〜左に受け流す〜♪
そして禁酒、断酒は「影響の輪」、「関心の輪」どちらの輪に入るのかといえば、
当然影響の輪そのものと言えます。
つまり主体性の発揮無くして禁酒、断酒は不可能と言い切れますね。
お酒を煽って反応的な生き方をしていると影響の輪はどんどんと小さくなっていき主体性を失っていくのは自明の理。
むしろそうなったからこそ、今あなたはお酒と決別したいと強く思うようになったのではないですか?
反応的な人間は周りの物的環境に大きな影響を受けます。
天気が良ければ、気分もいい。しかし、悪ければ気分も悪くなり、遂行能力も低下する。
私自身の回想ですが、私はお酒を飲んでいた頃、非常に「反応的」な人間でした。今でもそういう性質は引きずっていますが、飲酒時代はひどかったように今は感じます。
反応的だとその精神や感情は関心の輪に向けられます。
例えばランニング、やろうと思ったのに外は生憎の雨。こういうときにも主体性を発揮するか反応的になるかで行動は分かれます。
自分ができないのは雨のせい
しかし主体性が有る人間だとこうではないでしょうか。
外がどうなろうが自己成長のためのタスク進行には関係ないね!!
そう、禁酒、断酒こそ反応的生活から、主体的生活へ転換するパラダイムシフトに他なりません。
例えば会社の人事などは多くの方の場合基本、関心の輪の出来事でしょう。
しかし、主体性を発揮して会社に貢献し続ければ(影響の輪の範疇)、評価が上がり昇進、昇給が叶う。
つまり影響の輪が広がり、関心の輪の出来事が影響の輪の中に入ってくる。
わかりやすいところでいうとそういうことです。
あなたの心でしか問題は解決しない
問題はいつだって自分の外ではなく、内側にあると自覚する事が主体性を育む下地になるのです。
アルコールの問題において根本的な解決をしてくれるのは医者でもなければ、コミュニティーでもありません。
もちろんこれらは大きな手助けにはなりますが
「今日は飲まない」という選択をするあなたの主体性以外にはありえないのです。
たとえどんな辛い事情があろうともアルコールで傷つく選択をしたのは自分である。
この原則を忘れてはならないでしょう。
できることから始めなければなりません。大きなことをする必要はないのです。
まずは小さな行動を起こす主体性を発揮してください。
今自分が影響の輪の中心にいるのか、関心の輪に振り回されているのか。
自分の心を俯瞰的に見つめる「メタ認知」能力を築いていきましょう。
考えてみれば飲酒ほど主体性を奪うものはありません。
もちろん自身の責任と意志によってお酒を楽しんでいるという人も沢山います。
そして、そんな人達はそもそもアルコール依存症にはならないとお思いでしょうか?
答えはノー!
厄介なのは元からそういった主体性をもった人でさえ、一度アルコールに呑まれてしまえば自我のコントロールを失い、反応的になり関心の輪に翻弄されてしまうのです。
最近では某有名ユーチューバーが睡眠薬をアルコールと一緒に大量摂取して命を落としかけました。
彼は若くして成功した優秀なビジネスパーソンであり、主体性の塊のような青年だったと思います。
さまざまな嫌がらせを受けても、お酒さえ飲まなければあのような危機にはならなかったのではないかと思わずにはいられません。お酒に逃げざるをえないほど、追い込まれていたとも言えますが…。
「主よ、変えるべき変えられるべきことを変える勇気を、変えられないことを受け入れる平和を、そしてその区別をつける知恵を与えたまえ」
アメリカのアルコール依存症連合会の座右の銘
そしてもう一つ
「自分で投げ捨てさえしなければ、誰も私たちの自尊心を奪うことはできない」
マハトマ・ガンジー
第2の習慣、目的をもって始める
マイルールこそが人生の地図
自分はどうなりたいのか、何をしたいのか、自分の行動の基礎となる価値観や原則を明らかにする。
禁酒、断酒が続かない人、まあかつての私ですが思い返せば、禁酒、断酒という「手段」ばかりに目を向けて何のために「それ」をするのかという「目的」が曖昧模糊だったような記憶があります。
飲み過ぎで体調悪いので何となく禁酒する、無駄使いしすぎなので我慢する、などでしょうか。
始める動機として、それ自体悪いことではないのですが、しっかりした目標設定がないとやはりふとした時に退屈さを感じ「飲んじゃえっ!」となってしまいます。
そうならないためには、やはり自身の中での禁酒、断酒を継続する為の意義が必要。
つまり飲まない生活をしっかり立ててその後の人生をどう描くのか、どこに向かって進むのかという自分だけの道標、マイルールです。そしてそれを可視化するのがミッション・ステートメントと言えます。
精神が集中できる、時、場所を選んで自己としっかり向き合い、時間をかけてあなたの人生の目的、それを達成すための原則、ミッション・ステートメントを書き起こしましょう。
いつも使う、手帳やスマホ、タブレットなどすぐ見返せるものに記すのが良いでしょう。
私自身、毎日のようにお酒を煽っていたときはお酒がいつしか生活の中心になっていました。
仕事が終われば帰宅してすぐ飲む。休みの日は昼から飲むなど。またお酒が飲めないと理不尽に腹を立てて精神もささくれ立っていました。
このような状態ではとても原則を中心とした生活などできません。何においても酒ありきになってしまい、目的をもって始めるなど何もできないでしょう。実際、飲酒時代はやりたいと思っていたことのほとんどは満足に出来ませんでした。
禁酒、断酒は始めれば即座に何かを得られるという事はありません。
むしろ最初は不眠や不安、うつ、イライラなど厄介な症状がのべつ幕無しにやって来ます。しかしそんなのは最初の二週間程度で、徐々に慣れてきて体調も良くなる。そうなれば少しずつ心にも余裕が出てきて、自身の原則と目的というものが見えてくると思います。
しばらくは心が定まらないと思いますが、焦らずお酒のない日々を積み上げてちょっとずつでいいので自身の目的と原則にそった生活を始めましょう。
禁酒、断酒と言うのは最初のうちは100日、半年、一年と期間達成が一つの目的になります。
実際私も今、2年達成が人生の目的の一つです。
しかし、お酒を飲まないだけが目的だと、何とも味気のない人生になってしまいませんか?
なので禁酒、断酒はあくまで「きっかけ」としてあなたが人生をかけて進みたい目的を探して行きましょう。
大袈裟に考える事はありません。先ほどの禁酒、断酒の100日、半年、一年の延長線上にその後はどんな自分にとって意義深いことを起こすかという考えで、小さな行動から始めて行きましょう。
それが新しいあなたを形作る主体性となり目的地へ向かう地図となります。
自身の影響の輪の中心から始める
あなたが影響の輪の中心で始めたいことは何でしょう。私の影響の輪は、以下のようなものでしょうか。
では私自身お酒をやめて一年半経過しましたが、どれほど良くなったのかというと残念ながらまだまだ、自分の望む未来予想図は叶えられていません。
しかし、飲んだくれていた頃より精神状態は確実に良くなり、行動も飲酒時代と比較すれば確実に広がっています。
読書は以前と比較して随分読めるようになりましたし、そこから得た情報や知識で少しずつ新しいことも始めるようになりました。
また何と言っても筋トレ、ランニングといったワークアウトが純粋に好きになった。
これはとても大きな、そして意義のある変化だと自負しています。
そうやって自身の望む未来を明確にイメージすることが目的地へ辿り着くための地図になるのです。
お酒との訣別はやはり、寂しさが伴うものだと思います。未練もあるでしょう。
もちろん節酒に切り替えるのも、人それぞれ自由です。
私はやはり、これらのミッション・ステートメントにおいて、断酒の継続が自身の人生のパラダイムにおいてとても有効だと感じています。
だから誰に言われるでもなく100%自身の意思で断酒を継続しているのです。
飲む人生も飲まない人生も、誰かに言われてやるのではなく、自身の意志と責任で行わなければ関心の輪に振りまわされる惨めな人生になってしまうのではないでしょうか。
自分の中心が影響の輪にあるのか、関心の輪にあるのか、常に自分を見つめ直すメタ認知能力が断酒によって上がったと私は感じています。
ミッション・ステートメントはあなたの状況や成長に合わせて、定期的に見直して更新する必要があります。
最初は断酒1年だったのがやがて、資格試験を受ける、飲んだつもり貯金で何か自分に投資をするなど自身のレベルに合わせて幅を広げて行きましょう。そうすることで影響の輪も次第に大きくなっていくでしょう。
第3の習慣、重要事項を優先する
第二領域を開拓せよ
物事の優先順位を考える上で、本書では4つの領域で分類分けをしています。
- 第一領域、緊急かつ重要なタスク。
- 第二領域、緊急ではないが自身の人生において重要なタスク。
- 第三領域、緊急ではあるが重要度は低いタスク。
- 第四領域、緊急でもなければ重要でもないタスク。
言わずもがなですが禁酒、断酒は当然のこと、充実した人生を構築できるかは第二領域にどれだけコミットできるかにかかっています。
現状、私にとっての第二領域は以下の通りです。
- 本をたくさん読み、読んだ本のアウトプット。
- 筋トレをして体脂肪率を10%にする。
- ランニングで10キロを1時間以内で完走。
- ブログを3つや4つ運営したい。
- デザインの引き出しや技をもっと増やす。
- 作成したデザインをSNSでアウトプットしていく。
- たくさん絵を描く。
- ライティングスキルを上げる。
- 動画を制作してみる。
- クラウドアプリを使った効率的なタスク管理。
- サイトを使った仕事の進行マニュアルを作成する。
- 投資に関する勉強を強化
などがあげられます。
欲張りすぎ、出来ることをひとつずつしなさい
そしてこのような第二領域をこなす為にはまず第三領域、第四領域の時間を削る必要があるのです。
しかもタチが悪いのは飲酒は時間を奪うだけでなく、お金と健康、そして意欲をもうばいます。
そうなると第二領域の実行など銀河の彼方。日々の普通の仕事、本来なら第三領域のタスクでさえ第一領域に入っていきます。
そして気づくと第一領域(仕事)、第四領域(飲酒)の往復のみになってしまうのです。
最悪じゃねーか!!
もしくは、雑事の消化と飲酒習慣による第三領域、第四領域の往復などでしょうか。
禁酒、断酒を継続する上で得られる最大のベネフィットはやはり主体性を発揮する意欲と時間をもつことができる。
これに尽きるといっても過言ではありません。
もちろん適度に飲酒を楽しみながら、それらを維持できている人もいます。
羨ましい…
しかしちょっと意地悪な見方をすると、アルコールは脳の理性を司る前頭葉の働きを確実に弱めますので、少しでも飲んでいる限り、やはりスキルは年々目減りしてしまうのではないでしょうか。
さんざんアルコールで前頭葉を破壊し尽くしてよくゆーなお前…
禁酒、断酒が生み出すシナジー効果
これら4つの領域は固定的なものではなくあなたの意志や成長によって流動的に変化するものでもあります。
- なんとなく遊びで始めたイラスト(第四領域)が上達して自身の先の人生において優先順位が上がる(第二領域へ変化)。
- 仕事の煩わしい大量メールを処理(第三領域)するためにはどういった仕事の段取りをするのが適切かを考え、自身が持つスキルの抜本的改革(第二領域)に繋げる。
上記のように、一見すると無駄に思える事柄も、主体性を発揮し、目的意識を持って取り組めばあなたの影響の輪を広げる第二領域の活動へと変わると思います。
第二領域の活動に注力していけば自ずと他の領域の活動幅が狭くなりウェイトが軽くなります。
例えば先ほどの例で言うと、
- タスク管理の徹底見直し(第二領域)によって、メールや電話連絡といった雑事(第三領域)が減る。
- 雑事が減ることで大事な仕事(第一領域)の消化が前倒しでできるようになる。
- その空いた時間で更なるタスク管理の向上や、新しいスキル、新規事業の土台を作る(第二領域)。
- そうやって得られた余暇に体験した旅行など(第四領域)が刺激となって新しい発想と活動の鼻緒となる(第二領域の拡大)
このように、第二領域の活動に注力していけば、他の領域にも良い影響を与え、自身の中でのシナジー効果を高めることができるのです。
そのためにまず最初にやる事は何か!?そうですね!禁酒、断酒ですね!!
くどい様ですが飲酒など第四領域以外何者でもありません。
だがしかし、飲み続けて依存症になるとこれが、自身の中で第三領域になり、さらには依存症が深刻になれば第一領域にすらなってしまうのでは無いでしょうか。
ヤダ!
禁酒、断酒はあなたにとって大事な第二領域の活動です。
それが軌道に乗れば、新たな第二領域の活動へと広がりを見せる事でしょう。
その結果、他の領域のリソースを小さくして、第二領域の拡大へと繋がるステップアップになります。
そしてそれが本書の後半部分、公的成功への土台作りになるはずです。
「大きな成果を出す人は、問題に集中しているのではなく、機会に集中している。」
ピーター・ドラッカー
まとめ、成長なくして成功なし
いかがでしたでしょうか。今回は世界的ベストセラーのビジネス書、「7つの習慣」を禁酒、断酒に当てはめてブックレビューを展開してみました。
その中でもとりわけ自身の習慣をいい方向に見直す指南書として、第1の習慣、第2の習慣、第3の習慣に焦点を当てての考察記事です。
そして本書の後半、「公的成功」からは自分以外の人たちとの協力関係、リーダーシップやマネジメントの領域に入って行きます。
- 第4の習慣、WinWinを考える
- 第5の習慣、理解してから理解される
- 第6の習慣、相乗効果を発揮する
- 第7の習慣、刃を研ぐ
人間は誰しも成功という果実を真っ先に求めがちです。そして成果を得るためにどうやって近道をするかというテクニックを探してしまいます。しかし私的成功、つまり自身の成長という土台が出来ていなければ公的成功という社会的評価は得られないということを本書では説いています。
そして成功という社会的成果は一人の力で得ることは決してできず、さまざまな人の協力が不可欠です。そしてその協力を得るためには、あなた自身の誠意と努力の積み重ねがあってこそ成り立つでしょう。
これらはまるっきり禁酒、断酒にも同じ事が言えると私は思うのです。禁酒、断酒はそういった私的成功、つまり自己成長を促進させる最も効果的かつ幸福なパラダイムシフトと言えるのではないでしょうか。
第4の習慣以降は、ぜひ本書を手にとって読んでいただきたいです。