壁期に感じていた虚無感や虚脱感にも慣れ、ある程度割り切った感情で過ごせるようになるでしょう。
そして、ここまで来ると開始当初は遥か遠い未来に感じていた「断酒1年突破」も俄然現実味を帯びてきます。
この「適応期」に入ると特に苦もなくお酒を飲まない日々をこなせるようになる方が多数。
よしっ!
今回は「断酒1年突破」まで駆け抜ける為の、適応期に必要なマインドセットを私なりの見解で記事にしていきます。
飲酒時代の「過去」と飲まない「現在」を冷静に比較出来る
禁酒、断酒における各フェーズは体感度に個人差があります。
なので、半年を過ぎた途端、確実に壁期が終わるとは限りません。
壁期の時期になってもほとんど変わらない人もいれば、壁期特有の症状が一年位続く人もいると言われます。
私は断酒開始から4ヶ月目〜8ヶ月過ぎくらいまで続いた印象
なぜなら人間には恒常性、「現状維持バイアス」と言われる適応能力があるからです。
現状維持バイアスは「ホメオスタシス」とも言い、自身の心身状態を自分にとって最もフラットな状態にしようと働く慣性の力。この一番自然で楽な状態を「コンフォートゾーン」などとも言います。
- 禁酒、断酒を始めた「緊張期(0日〜14日)」は飲酒欲求、不眠との闘い。
- それを過ぎ、眠れるようになった「ハネムーン期(15日〜90日)」は充実感から気持ちがハイになります。
- そして「壁期(91日〜180日)」にはその充実感にも前述の慣性の力が働き、頭打ちになる。
こういった躁鬱状態のような感情の起伏が禁酒、断酒を始めて半年を過ぎる辺りまで乱高下するのです。
ホント、やめてほしい…。
そういったすったもんだが落ち着いてくるのがこの「適応期」になります。
精神的にも冷静になってくるため、自身の状態をかなり客観的かつ俯瞰的に観察できるようになるでしょう。なのでこの時期に自身の禁酒、断酒の道筋を振り返り、どのような変化が起こったのかを考察しましょう。
例えば私の場合だと、飲酒時代は睡眠の質が最悪でした。
みんなもそうでしょ?ねえ、そうだよね!?
夜中にトイレで起こされたり、布団の中で足がつって悶絶したりなど。
アル中アルアルだね!!おねしょしなくて良かったよ♡
また、起きた直後など朝は二日酔いで気分は絶望のズンドコ。
気分の落ち込みはお昼ごろまで続き、ようやくアルコールが抜け落ち着いた頃には既に夕方、そうなるとまたぞろ飲みたくなって、夜に再び飲酒。もう目も当てられません。
こういった負のループを繰り返し、後悔と自己嫌悪のマッチポンプから抜け出せた過去と現在を比較すれば禁酒、断酒こそが最高のソリューションだと確信を持てるのでは無いでしょうか。
間違いない!
禁酒、断酒以前や直後の記録があると良い
日記をつけるのが理想的と言えますが、そんな殊勝な人は少数派かもしれません。
私もやって無かったな…。
そこまで形式張った事をしなくても、手帳やスマホのメモなどにその時々の心境を簡単に残しておくのがおすすめ。禁酒、断酒を始めたばかりの方、これから始めようと思っている方は是非やってほしいです。
カレンダーの記述法に関しては以前当ブログで記事にしているので詳細はそちらを参照してほしいのですが簡単に紹介します。
カレンダーにお酒を飲んだ日は✕を付け、飲まないで過ごした日に◯を付けるだけです。
ベタですが私の場合、効果の程は絶大でした。
メモ帳の備忘録に関してはいつも持ち歩いている測量野帳にふとした時に徒然なるまま自身の心境を書き綴っていくというもの。
今見返すとお酒をやめようと思い、一進一退を繰り返し、飲んだ日や飲まずに過ごした日などを書いており当時の涙ぐましい努力が伺えます。
私自身、飲まずに過ごせる日々を継続出来る様になったのは2020年の11月上旬からですが、それ以降を読んでみるとやはり、様々な変化が確認できます。
断酒の継続にあたって行いたい事や、マインドセットなどを書いていたりなど様々。始めた当初はメモ書きもなぐり書きのような乱暴な字だったのですが、飲まない期間が伸びるにつれて、丁寧で割とキレイな字になっていったりしています。
はたから見れば大差ないように見えると思いますが…。
Twitterは140字という制限があるので、まとめてわかりやすい文章にする為の工夫が身につきます。
創意工夫は禁酒、断酒でマストのスキルなので積極的に発信しましょう。
また、Twitterはつぶやいた日時もひと目で分かり、時系列で振り返ることが出来るので便利。
禁酒、断酒の日数を明示するのも効果的
ブログもWordPressなどを運用する本格的なものもいいのですが、はてなブログなど、無料で簡単に始められるものがやりやすいでしょう。
簡単なものからやってみて、もっとこだわりたくなったときに本格運用を検討しましょう。
最近はYou Tubeでも禁酒、断酒の記録や効果を解説した動画が多く見受けられます。
こちらも昨今は高性能スマホの普及で誰でも簡単に出来るのでとてもいいと思います。
上手くいけばマネタイズ出来るかも♡
自身の内面ととことん向き合う。
「自身の内面ととことん向き合う事が大事」口で言うのは簡単ですが、我々アル中にとっては至難の業。
なぜなら、そこから目を逸らすためにこれまでお酒に逃げてきたからです。
様々な悩みや葛藤、消化しなければいけない仕事やタスク。考えるだけで気が重くなりゲンナリ…。
そんな時「まあ、いいや!とりま今日は酒飲んで明日考えよう」、
そうやって様々なことを先送りにして来て、結果問題は解決せず…。そんな現実を直視するのが耐えられずまた飲む。
適応期はこれまで先送りにしてきた、自身の内面としっかりと向き合う期間だと思います。
断酒を始めた緊張期、ハネムーン期、壁期においては、
お酒と離れ新しい生活習慣を構築するための「今」と向き合う期間といえます。
そうした起伏の激しい期間を乗り切って精神的にもある程度落ち着いてくる適応期こそ、
自身の内面と「過去」を精算するのにふさわしい時期とも言えます。
もちろん壁期がまだ続いていると感じる方は無理するのはやめましょう
最大の障壁である壁期を越えると飲酒欲求自体はかなり弱く、少なくともこれまでよりは確実に飲まないことに対する耐性はついているはずです。
こういった自身がお酒を飲まずに過ごしてこれたこれまでの道筋を辿りながら心境の変化を考察、比較しましょう。この適応期に来るまで、皆決して平坦な道のりでは無かったはずです。
嫌なことがあって飲みたくなったり、ストレスに曝され精神を摩耗したり、仲間や会社、身内の飲み会、パートナーとの記念日、冠婚葬祭など。我々の身の回りは隙あらば飲ませようとするアルコールのトラップに溢れています。
被害妄想がすごいな…
なので是非自信を持ってほしいのです。
「俺ってやるじゃん!!」「私ってすごい!!」と
まず自分を最大限肯定しましょう。
そしていま現在の心境、飲酒欲求の強度などを客観視して、どういった状況で飲みたくなるのかなどをしっかりと復習していきます。
そうして、お酒の誘惑に勝てなかった「あの頃」と打ち勝って過ごしている「今」を俯瞰的に評価するのです。
そうすれば、自身の中で確実に様々な心理状態がいい方向に改善しているのが確認できるでしょう。
そういった振り返りや前向きな自己評価は適応期を迎えるまでお酒を断てたあなたなら、間違いなく出来るはずです。
禁酒、断酒のメリットは常に「おさらい」
当ブログでも、また多くの禁酒、断酒者が言っていますが、アルコールの厄介なところはお酒にまつわる「いい思い出」だけを濾過した状態で残すところと言えるでしょう。
やっぱり、人は辛い思い出や嫌なことは忘れたいもの。
お酒にもこの法則がバッチリ働きます。
お酒の失敗や飲んだ後の体調最悪の二日酔い、アルコールの後遺症によるうつ状態などなど、しんどかった思い出が希釈されるように脳のシステムが働きます。
困ったものです…
だからこそ、適応期に限らず、我々は常に情報や知識をアップデートする必要があるとも言えるのです。
お酒を断つことによって享受できる利益は数え上げればキリがありません。
- 睡眠の改善
- お金の節約
- 覚醒した時間の飛躍的伸び
- 健康的な肉体
- 精神の安定
- 思考力の向上
- モチベーションのアップ
- 能動的マインドセット
また禁酒、断酒を続けることによって得られるメリットのみにとどまらず、
お酒を飲んで被るデメリット、健康被害なども積極的に情報を収集し自身の中に落とし込む必要があります。
- 肝機能の悪化
- 脳細胞の萎縮
- 脱水症状
- 下痢
- 嘔吐
- 肥満体質
- 後に何も残さない、溶けて消えるお金
- イライラなど不安定な精神状態
- 酩酊状態、二日酔いで脳も身体も機能不全な時間
- 揉め事などお酒が起因のトラブル
- 飲酒運転など、犯罪行為の可能性
- 怪我、死亡の危険性
何度でも言いますが、断酒を継続して後悔している人は殆どいません。
ゼロといっても差し支えない!!
まあ、考えてみれば至極当然の話で、お酒は飲もうと思えばいつでも飲めるからです。
日本全国24時間いつでもどこでも入手可能
後悔するまでもなく、耐えられなくなれば普通に飲むでしょう。
そして、飲んだ後にこそ大きな後悔がやってきて我々の精神を取り立てます。
サイアク〜!!
飲酒せずに一夜を過ごした事を後悔することはまず無いが、飲めばもれなく後悔する。
依存症にまで落ちぶれた我々はこの鉄則を決して忘れてはなりません。
後悔とは後で悔いると書くんだなあ…
考えずに動く癖をつけよう!!
どんな事柄でもそうですが、人生を好転させるためには「行動する」これ以外に方法はありません。
禁酒、断酒とはそもそも飲酒という「行動」を「しない」ことなので、なんとも逆説的な印象もありますが、やはり禁酒、断酒を継続するためにも行動は不可欠。
以下は飲酒、断酒をする上でオススメの本、「夢をかなえるゾウ」での印象的な言葉。
一日は二四時間やろ。これは誰にでも与えられた平等な器や。で、今、自分の器はぱんぱんに詰まってるわけやな。
夢をかなえるゾウ 著:水野敬也 文響社
そうやってぱんぱんに入った器から何かを外に出すんや。そしたら空いた場所に新しい何かが入ってくる。それは、勝手に入ってくるもんなんや。
人生変えていくいうのは、そういうイメージやねん。
これまでお酒で占められていた時間はとにかく膨大で、止めて初めて気づき、
「もっと早くやめれば良かった!」と後悔する人は沢山います。
私もその1人
禁酒、断酒によってあなたという器には「空き」が発生します。
この空白に新しい何かを入れ込む、それをしなければ禁酒、断酒はただ、我慢する時間を増やすことになってしまいます。それを避けるためには「行動する」、これ以外は無いでしょう。
他の記事の繰り返しで恐縮ですが、たくさん本を読むなどでもいいですし、ワークアウトもおすすめ。なにか新しい趣味や習慣を身に着けなければなりません。そしてそれは「考えずにできる事」が理想的。
やろうとするたびに「どうしよう」と逡巡するのは意思決定のリソースを増やし疲弊するので、ライトな行動を自身の生活の中にプログラミングしましょう。
例えば私の場合、毎朝5時半頃に起床します。
ここでも布団の中で目覚めて起きるか、もうちょっと寝るかを考えるのは思考の無駄遣い。
なので、時間になるとベッドから離れた位置においてあるipadのアラームが鳴り、音を止めると目覚まし用音楽のプレイリストが自動再生するようにセットしてあります。
つまり時間が来れば否応なしにベッドから離れて、アラームを止める、そうすると一日の始まりを告げる音楽が鳴り響くという流れ。
こうすると私の意思に関係なく「行動」を起こさざるを得ません。
そういった「行動」を「思考せず」できる環境を一つ一つ構築していくのです。
もう、ここまで来れば1年は遠くない!!
一日千秋の思い
緊張期の節目となる2週間、一ヶ月、そして多くの方が最初の目標としカウントしているであろう100日突破までは、「まだ〇〇日しか経っていないのか…」と凹むこともあると思います。
しかし100日を堺に日数自体はあまり気にならなくなり、更に半年を過ぎると時間の感覚が通常の状態に戻ってきます。
正確にいうと飲酒時代はアルコールの酩酊状態のせいで光陰矢の如しだったのが割と、いや、かなり有用に時間を過ごせている感覚になってきます。
要はお酒が飲めないのを「耐えている状態」をあまり感じなくなるといった方がいいのでしょうか。
読書量なども増えるし、趣味がある人などは飲酒時代よりも楽しく有意義に時間を使えるようになるはずです。
ともあれ、半年が経過すると、一年という区切りが明確に見えてきます。
「適応期」は自身の機微を丁寧に観察し、飲酒していた頃と飲まない今をしっかりと比較しましょう。
そして繰り返し繰り返し禁酒、断酒のメリット、飲酒のデメリットを知識や情報として取り込んでいって下さい。
そうすることで、その次に訪れる最終ステージ「解決期」には、
これからの自分といった「未来への展望」を考えられるようになるはずです。
なんでもそうですが、よくも悪くも人は慣れるもの。
人間には恒常性があり、現状を肯定的に捉え、維持しようとする「ホメオスタシス」が働きます。
飲酒時代は我々にとって仇となっていたこの脳機能をこれからは味方につけ、禁酒、断酒のコンフォートゾーン構築の足がかりを作る。
それが「適応期」に行うべきタスクとも言えそうです。