禁酒、断酒を始めると訪れる5つのフェーズ。
- 緊張期:(0日〜14日)
- ハネムーン期:(15日〜90日)
- 壁期:(91日〜180日)
- 適応期:(181日〜270日)
- 解決期:(271日〜365日)
今回はこの中から、「緊張期:(0日〜14日)」を過ぎた後に訪れる
「ハネムーン期:(15日〜90日)」について記事にします。
いかにも楽しげなネーミングでワクワクしますね。
なぜこのように呼ばれているかは後述しますが、
この期間に「その先」を見据えた「準備」をしておく必要があります。
ハネムーン期をその名の通り楽しく過ごし禁酒、断酒を軌道に乗せて充実した日々を送って下さい。
ではいってみましょう。
アルコールが抜けて、不眠が改善!絶好調!!
緊張期の頃は強い飲酒欲求と格闘し、更には不眠に悩まされ心身共に疲弊を極めていました。
ですが、そんな苦しい離脱症状も影を潜め、眠れるようになり体調が回復!
睡眠の改善は精神の疲労も一気に癒してくれます。
それによりお酒のない、つまり二日酔いとは無縁のスッキリとした朝を迎えられるようになるのです。
気力体力ともに漲って充実感を感じられる。
それがこの期間を「ハネムーン期」と呼ぶ由縁なのです。
気持ちも高揚し「お酒を止めて良かった!!」と心から思うことが出来ます。
そして「緊張期」の憂さを晴らすが如く、非常に能動的になってくるのです。
皆さん分かりきった事ですが、ここでおさらいをしましょう。
お酒をやめるととても多くの時間が生まれます。
それは飲酒をしていた直接的な時間だけではありません。
思い返せば飲んでる時、そして飲み終わった後酔っ払いは何も出来ません。
雨天時のマスタング大佐並みに超絶無能モード
そして、眠りについて翌朝起きた後も二日酔いで、頭も体も使える状態ではないですよね。
体からお酒が抜けるのに午前中いっぱいかかると考えた場合で計算してみましょう。
夜の9時から飲酒した場合、翌日の昼12時まで実に15時間という時間がお酒に奪われます。
まあ、睡眠は生きるのに必要な時間ですから、ここから7時間差し引いてもなんと8時間のロス。
しかも飲酒をすると睡眠が浅くなるので、せっかくの睡眠も効果激減です。
なので飲酒をやめれば、これらがすべて有意義に使えるようになるのです。
まず、ロスした8時間を覚醒した状態で思考が出来ます。
そして睡眠もしっかりとれたら脳だけではなく、体もリフレッシュ!!
起きた直後にエンジン全開で活動する事が出来るわけです。
そう考えるとこれまで飲酒によってどれだけ時間を溶かして来たのかが実感できるのでは無いでしょうか。そういったかつてお酒で溶かしていたタイムロスを取り戻し、新しい生活習慣を構築する。
それが「ハネムーン期」の醍醐味と言えるでしょう。
「慢心」が呼ぶ、お酒の「記憶色」
苦難の「緊張期」を過ぎると訪れる、心身好調な「ハネムーン期」。
このハネムーン期は禁酒、断酒に対する知識や情報などの「心構え」と「備え」がないと、
スリップ(再飲酒)の前フリになってしまいます。
お酒を常習的に…というよりアルコール依存症の人は飲まない日が全く有りませんでしたよね。
私は無かった!!(キッパリ)
アル中は自分本位で何でも自身の都合よく考える悪癖が身に付いているため、
「自分はもう飲酒をコントロール出来る!!」と勘違いします。
本当にします、私はガッチリしていました。
猛省!!
そして、そもそもどうして禁酒、断酒を始めたのか、肝心な初心を忘れがちになります。
それ故「自分は(自分だけは)もう、適正にアルコールをコントロールして飲めるようになったかもしれない」と根拠不明の自信を持つようになるのです。こうしてお酒の狡猾な罠にハマってしまいがち。
人は悲しいぐらい忘れてゆく生き物。
ミスチル!?
そう、アルコールたちの悪さは、ここにあります。
あなたも思い返せばお酒にまつわる思い出は、
楽しい思い出もあれば、辛く苦しい思いでもあるでしょう。
そして人間の脳は楽しい思い出は「より楽しく」、
辛い思い出は「より軽く」なって残るものなのです。
この時期、「ハネムーン期」から「壁期」を過ぎるまでは、
お酒にまつわる楽しかった思い出”だけ”がよくフラッシュバックします。
そして、飲酒による最悪な二日酔い、やっちまって後悔した翌日などをなんとも都合よく忘却、もしくはキツかった感覚を「希釈」してしまうのです。
あなたは「記憶色」というのをご存知でしょうか。
記憶色とはものの色の記憶を自身にとってより好ましい色に脳内で補正してしまう心理です。
ここで「りんご」を頭の中で思い出してみてください。
その次は「桜の花」を思い出してください。
おそらくあなたの記憶の中ではこのようなイメージでしょうか。
おそらくあなたの記憶ではりんごはより鮮やかな赤色、
桜はより明るい薄ピンクだったのでは無いでしょうか。
しかし実際の色はこれです。
このように人間の記憶は「自分にとって好ましい方向に都合よく改ざんされる」ものなのです。
そして、世の中の広告物などは、まさにあなたの「記憶色」に合致したイメージで訴求を図るのです。
化粧品広告のタレントは実際よりも「美白」に、
ステーキのお肉は実際よりも「赤くシズル感のある色」に「補正」をします。
わたしそーゆーお仕事してます
ハネムーン期、そして壁期はガッツリその心理状態になります。
振り返れば、お酒のCMなどもまさしくコレでしょう。
飲酒の「美味しい」「楽しい」といったあなたの「記憶色」に呼びかけるのです。
鮮やかな金色(こんじき)のビール、透き通った透明感のある梅酒やハイボールなど、
お酒の持つ「負の側面」を完全にシャットアウトし、「いい部分だけ」を余すことなく誇張しまくって「飲酒欲求」を刺激するのです。
我々は飲酒によって得られるソレが、「仮染めの幸福」であり、アルコールによってもたらされる「どん底」を知っています。なので、この飲酒欲求が「記憶色」によって「都合よく補正された紛い物」で有ることを決して忘れてはいけません。
愛される喜びも、寂しい過去も
充実したリアルは新しい習慣にあり!?
今より前に進む為には、争い…じゃなかった、新しい習慣の構築を避けて通れません。
「緊張期」における2週間はとにかく、時間が薬。
そして、緊張期を過ぎれば、不眠が改善し睡眠が取れるようになるのは前述の通り。
気力体力が回復し、精神的にも非常に前向きになれるので、この「好機」を逃してはなりません。
禁酒、断酒以前からワークアウトの習慣がある人は、現状からワンランク上のタスクを設定するのがいいかもしれません。
ウォーキング、ランニングといった有酸素運動がメインだった人は禁酒、断酒を機に筋トレなどの無酸素運動を取り入れる。
その他、水泳、ゴルフ、サイクリング、登山やボルダリングなどや、
私の住む沖縄だとマリンスポーツなどもあります。
東北地方や北海道などの北国ならスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツなどもいいですよね。
僕もスキーやりたい!!
ネットで検索すれば初心者でも始めやすいライトなコースを提供しているところもあるはず。
簡単にできるもの、自身の興味がある分野など「やってみたい」と思えるアクティビティをチャレンジしていきましょう。
また、ワークアウト以外にも読書習慣をつけて知的水準の向上を目指すのも生産的で大変素晴らしいです。
私は「禁酒」を始めたタイミングくらいでKindleのpaperwhiteを購入し、
更にKindle Unlimitedに入会して、毎月5冊以上は読書をしています。
2021年は電子書籍、紙媒体の本と合わせて大体100冊くらいの読書が出来ました。
コレもお酒を飲んでいれば到底出来なかったと思います。
また年明けぐらいから、よくCMしている、U-CANの通信講座などをやってみるのも面白いです。
私も以前(飲酒時代)カラーコーディネートの通信講座を受けたことがあります。
結構値が張りましたが、それなりに楽しんで勉強できました。
お酒をやめれば頭脳が明瞭になるので勉強も捗り、資格などの取得も容易になると思います。
その他には現在の私のようにブログを開設して発信するのもいいでしょう。
You TubeやTikTokなどで動画の配信をしたり、
Twitter、InstagramといったSNSでの発信など、
いざやってみたら結構面白くて夢中になれるものはこの世に沢山あります。
私の場合、飲酒時代(末期)はお酒がプライベート時間の大半を侵食していました。
仕事が終わったら飲む、休みの日は昼から飲む、といった具合に仕事の時間以外は酩酊して本当に時間を無為に消費、いや溶かしていました。
本当にもったいない
依存症が進むと嗜む程度では物足りず、仕事以外の時間をお酒に費やしてしまいます。
よって、お酒をやめるとこの時間がごっそりと浮くわけです。
緊張期の間はお酒を「我慢」し、時間が過ぎるのをひたすら待つだけだったのが突如大量の時間が「余る」わけです。
最初はこの時間の空白に戸惑うかもしれませんが、禁酒、断酒を続ける意思さえあれば、前述のような他のことに目が行きます。
むしろこの時期にお酒以外の「他のこと」に意識を持っていかないと、この後来る「壁期」にスリップ(再飲酒)する危険性がグッと上がってしまいます。
お酒が、意識に入り込む隙を埋めていこう
前述の「記憶色」にもある通り、お酒というものはほとほと厄介で、
油断をしているとすぐ意識のスキマに入り込んできます。
楽しかった記憶をやおら増幅させ、辛かった思い出を忘却させる悪質さは何度書いても書き足りません。
この意識がないと禁酒、断酒を始めても最初の覚悟はどこへやらで、再飲酒してしまいます。
ハネムーン期の2ヶ月半、そしてその後の壁期の3ヶ月間は「緊張期」とはまた違った飲酒欲求に悩まされるのです。
- ハネムーン期に多いのが「自分は(自分だけは)もう、適正にアルコールをコントロールして飲めるようになったかもしれない」といった過信と勘違い。
- そして壁期に多いのが「これ以上我慢しても意味ないかも」という、行き詰まり感です。
ハネムーン期は禁酒を続けられていることで、自己肯定感が上がります。
それ自体はいいことなのですが、それが「勘違い万能感」に繋がり過信を生みます。
アルコール依存症は数年から人によっては10年〜20年という長い年月をかけて進行し、
あなたの体と脳を蝕んでいきます。
そうやって、骨の髄まで染み付いた飲酒習慣が、酒量のコントロールを奪い、
「飲む」から「飲まれる」になって思考の主体性までも失ってくのです。
普通に考えてみて下さい、
数年から10年以上かけて染み付いた飲酒習慣、飲酒欲求がたったの2~3ヶ月で克服できるでしょうか。
昔から「嗜む程度」だった方ならいざ知らず、
このブログ記事を読んでいる時点であなたの飲酒はおそらく「普通」ではないでしょう。
かくいう私もほんの数年前まで、お酒を断つことで、「緊張期」「ハネムーン期」「壁期」「適応期」「解決期」なんてものがあるなんて全く知りませんでした。
飲酒欲求を喚起させる「HALT」などというもの知らなかったのものです。
ちなみに「HALT」とは、
Hungry(空腹)、
Angry(怒り)、
Lonely(孤独)、
Tired(疲労)の頭文字で
これらの状況のとき、飲酒欲求が膨れ上がり、
再飲酒しやすくなると言われています。
なので、敵(お酒のことね)は常に我々の心の隙を狙っていることを忘れてはいけません。
私自身、依存症に対して無知だった頃はそもそも自分は依存症なんかでは無いと固く信じていました。
もっとも、医者にかかっていた訳ではないので、医者からそう認定されたわけではありませんが、振り返って考えてみればやはり依存症だったと確信しています。
しかし、医者にかからなくても自分は酒量をコントロール出来ていない、
つまり依存症だと認めれば一気に楽になります。
認めてしまえばソレに対して対策が打てるからです。
当ブログで何度もいっていますが、禁酒、断酒を継続する上で最大の敵は「無知」です。
私もかつて今以上に「無知」でした。
そもそも「無知」でなければ、依存症にはなっていません。
「お酒なんていつでも止められる」
「ちょっと飲み過ぎたが依存症というほどではない」
「自分に限って、依存症になる訳がない」
そんなふうに思っていたのです。
落ちぶれる人の共通項「自分だけは大丈夫」
禁酒、断酒へのプロセスや継続成功のパターンは十人十色ですが、
スリップ(再飲酒)つまり失敗するパターンはみんな同じようです。
「自分だけは大丈夫」コレに尽きるのではないでしょうか。
アルコール依存症に関わらず、人生で転落する人は皆一様にこの陥穽にハマります。
私もなんの根拠もなく「自分が(自分だけは)アルコール依存症になる訳がない」そう信じていました。
しかしそれは、大いなる勘違いでした。
お酒は合法的な嗜好品ですが、世界の医学者の間では「依存性の強烈な麻薬」としてもはや不動の地位を確立させつつあります。
近年カナダでは大麻が合法化されました。
違法大麻の流通を止めるなど、目的は様々ですが、アルコールと比較して害が小さいから、というのも理由の一つでしょう。
日本では大麻は違法ですが、海外でアルコールは大麻以上に害があるという認識を示唆しています。
なにかに依存している人はみんな視野狭窄に陥り、
依存しているものを死守する為あらゆる「言い訳」を探します。
「仕事で疲れてるから」
「嫌なことがあったから」
「仕事が悪い」
「恋人が悪い」
「夫のせい」
「妻のせい」
「子供のせい」
「国のせい」
他責思考のオンパレードです。
冷たい言い方ですが、そのような考え方で人生が好転すると本気で思っている方は、今のままでいいと思います。私自身そういう矮小な考え方に引きこもってお酒を煽っていた記憶があります。
今思い返すと本当に惨めです。
そうやって必要以上に自分を特別視して、お酒を煽りアルコールをコントロールした気になっていました。コレこそがアルコールの罠と言えるのでは無いでしょうか。
しかし、当ブログに辿り着いた方は例外なく、
「自分の酒の飲み方はおかしい」
「アルコールをコントロール出来ていない」と
問題意識を持っている方のはず。
私自身、なんで自分がお酒をやめられないのか昔は不思議でした。
しかし、「このままではマズイ」と問題意識を強く持って初めて自分からいろいろ調べました。
調べてわかったのはアルコールがいかに害の甚大な飲み物であるか、ということ。
そして、依存症に陥った人間は一生治らない。
お酒の害から逃れるには一生お酒を飲まないようにするしか無いといった、
私を「絶望」させる現実でした。
大袈裟な…
しかし、更に調べていくと見えてきたのは、
自分と同じような悩みや苦しみを抱えている人は非常に多いこと。
過去を克服する特効薬は「未来への希望」
以上のようにきたる「壁期」に備えて行うべきこと。
それは、お酒以外に意識を集中させることの出来る「新しい習慣」を実践。
そして自身の慢心を常に見直すための「知識」と「情報」の取得。
コレに尽きると私は思います。
そういった自助努力が前に進んでいる感覚を与え、
自己肯定感の向上につながるのです。
こうした自身への投資が「未来への希望」を育みます。
「緊張期」について書いた記事に、
私が今でも勉強のために見ている、書籍、動画、ブログを紹介しているので、
是非拝見してほしいです。
繰り返しになって恐縮ですが、この「ハネムーン期」から「壁期」にかけてはくどいくらいにお酒の「楽しかった思い出」や「美味しかった味」だけを都合よく思い出してしまいます。
いや、都合悪いだろそれ
その結果以前の私は何度も
「自分は(自分だけは)もう適正に飲酒できる」
「これからは飲み会だけの機会飲酒だ」など、
勘違いをして再飲酒をしては失敗する。
そんな愚行の繰り返しでした。
しかし、そんな失敗があったからこそ、
「自分には節酒は出来ない」
「やはり自分にお酒は不要なもの」
「このままでは人生が破綻する」と
つまずくたびに危機意識を高めて来れたのです。
アルコール依存症治療の専門医も
スリップは回復過程で起こるものなので、止めたい意思さえしっかり持てば、いずれ止められるといっています。
諦めないで!
もちろん1年、2年と続けるには意思の力だけでは難しく、それ以外の戦略や工夫が必要です。
そしてそのやり方は人それぞれでしょう。
ただ、言えることは、アルコール依存症で苦しみ、そしてそれを乗り越えることが出来たなら、その経験は間違いなくあなたの自信とアドバンテージになります。
勝利も敗北もない孤独なレースを続け、心のまま誰も知ることない明日へ前向きにいきましょう。
ウザ!!